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元々鉄道ブログですが、福岡県古賀市、新宮町、福津市の情報に移行、その後福岡市近郊の情報に寄り道した後、心理学と障害者福祉に関心を移しています。
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 元々は鉄道ブログです。
 と言いつつ、福岡市北郊にある新宮、古賀、福津の情報をメインに書いていました。
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再度カリタスの家事件を考える(3)
 先日、職場で見た書類にMASがどうのこうの書いてました。
 何じゃMASって?と思って書類を熟読しましたが、何ら情報がありません。
 とりあえずGoogle先生に聞いてみると、Motivation Assessment Scaleのことではないかと言われました。
 Motivation Assessment Scaleというのは、動機づけ評定尺度(参照参照)と訳されているようです。

 さて、前回前々回と再度考えてみた(関連関連関連関連)、2004年11月のカリタスの家虐待事件(参照参照参照)についてもう一度振り返るのが長すぎたので、そろそろまとめようと思います。

<保護者会再結成>

 そして、カリタスの家の保護者会が再結成されます。

 福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、入所者らの家族が18日、2年前に解散した保護者会の再建に向け準備会(岡崎務代表)を発足させた。「施設にものを言えば、いつ追い出されるか分からない」との意見を踏まえ、施設から退所を迫られた場合「家族同士が結束し、施設に撤回させる」ことも決議した。年内にも施設を運営する法人の理事会や県に施設正常化などを申し入れ、年明けに保護者会を設立させる。
 会合には家族24人が参加。「追い出されるという不安や弱みにつけこみ、虐待がまかり通るのは許されない」「(虐待を)黙認してきた私たちにも問題がある」「職員の専門性のなさに危険を感じる」との意見が出た。
 岡崎代表によると、98年の開設の翌年に保護者会が発足したが、保護者間で認識の違いなどが表面化、02年5月に事実上解散。今年になって再生に向けた話し合いをしたが、再発足に至らなかった。
 11月末以降、虐待に関する報道が相次ぎ、法務局や県も調査に乗り出すなど、施設をめぐるさまざまな問題が噴出。保護者の間からも再結成を求める声が高まった。
 岡崎代表は「施設は入所者、利用者のものである以上、親の立場から発言できる組織は絶対に必要。施設や理事会、県に積極的に意思表示していきたい」と話している。【虐待問題取材班】
(届かない悲鳴:施設虐待の深層 退所通告に備え結束  「保護者会」再建へ準備会・2004年12月19日付毎日新聞西部朝刊)

 一度は結成された保護者会が、「保護者間で認識の違いなどが表面化」して事実上解散していたとのこと。
 しかし、そういった違いを越えてもまとまらなければならないという危機感があったのでしょう。

◇無抵抗に続く暴力、家族沈黙「退所怖い」

福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で発覚した虐待問題。虐待は暴行のほか、唐辛子や炭を食べさせるなど食べ物にも及んでいた。無抵抗の知的障害者に対する暴力や嫌がらせはなぜ繰り返され、歯止めが掛からなかったのか。関係者の証言からは、重度の知的障害者施設が抱える構造的な問題が浮かび上がる。
【虐待問題取材班】

◇「自浄なし」職員退職も

「『(入所者に)顔がいいか、腹がいいか』と言っては、ボクシンググローブで殴る職員もいた。暴力集団のように思えた時期もあった」。事情を知る施設関係者が重い口を開いた。
食事が遅いという理由で、たたいたり首を絞めるなどの暴力も横行。今年に入って、施設長に改善を申し入れる職員もいた。「(被害者の)そばにいて、問題の職員を監視するよう心がけた」と打ち明けるが、目を離したすきに暴力をふるわれ、結局「施設に自浄作用はない」と退職した。
虐待の様子を目撃していた入所者もいる。
「『これ、おいしいよ』と言っては唐辛子を、『コーヒーだよ』と言っては木酢(もくさく)液を与える職員もいた。吐き出したり苦しむ姿を見て、(職員は)笑っていた」
被害者はコミュニケーションがしづらい重度の知的障害者に限られていた。虐待した職員は目撃した入所者に口止めしていたが、度重なる虐待に、入所者数人が一部の職員に改善を訴えていた。しかし、「問題の職員を解雇すると代わりがいない」と不問に付されたという。
虐待した職員へ直接抗議を考えた施設関係者もいたが「会話の可能な入所者は数人しかおらず、特定され、報復される」と断念していた。
虐待の背景には、沈黙せざるを得ない家族の事情もある。
ある母親は、帰省した子どもを入浴させた際、胸に青アザがあるのに気付いた。けがの程度から「(職員に)やられた」と直感、施設長に問いただそうとしたが「口を出せば、施設を追い出される」と不安になり、思いとどまったという。
このほか、我が子のけがに不審を抱いた保護者も少なくないが、別の母親は「どの施設にも入れず、心中を考えていた時、迎え入れてくれた。文句など言えない」と語る。別の両親も「施設長は救いの神様。施設内で何が行われていようと、従うしかない」と口をそろえた。
([届かない悲鳴]施設虐待の深層 入所者をサンドバッグ 福岡の更生施設・2004年11月27日付毎日新聞)

 確かにこのような状況では、保護者が結束しないと利用者さんは守れません。

 福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、入所者らの家族が15日、2年半前に解散した保護者会を再結成した。再結成に向けた会合では、施設側の責任をめぐってやじや罵声(ばせい)が飛び交うなど一時騒然としたが、今後、施設再建に向け県に指導力の強化を求めていくことを決めた。
 会合には13人が参加した。複数の保護者によると、冒頭から施設側を擁護する意見が相次ぎ「現経営陣は総退陣すべきだ」といった施設運営に批判的な保護者に対して罵声を浴びせるなど、一時大混乱した。
 しかし、保護者会を再結成することで結局意見が一致。会長選が行われ「県に強力な指導を求めるとともに、心ある重度障害者団体と協力しながら施設再建を進めるべきだ」と主張した岡崎務・保護者会準備会代表が「現経営陣をもり立てよう」と訴えた別の保護者を1票差で破り選出された。
 岡崎会長は「退職する職員が続出し、施設内で職員を見つけるのに一苦労する。施設の管理はボロボロだ。虐待問題と合わせ、職員の補充、配置も県に訴えたい」と話した。【虐待問題取材班】
(福岡・障害者虐待 保護者会を再結成 施設側の責任巡り、一時騒然 カリタスの家・ 2005年1月16日付毎日新聞西部朝刊)

 再結成された保護者会は、早速県に要望書を提出します。

 福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、保護者会(岡崎務会長)は、同県に対し事態の早急な改善を求める要望書を提出した。 要望書では「施設に対する指導方針を明らかにしてほしい」として
(1)虐待に対する認識
(2)虐待を招いた要因と職員が定着しない現状への見解
(3)今後の対策
--などを県が保護者側に公開するよう求めている。
一方、虐待問題が19日、県議会厚生環境委員会で取り上げられた。
 県側答弁によると、特別監査に乗り出した昨年12月9日以降、今月18日まで計7回にわたって職員や元職員、保護者ら約200人を事情聴取した。一連の虐待のほか、不明朗なカネの流れについても6年前の開所当初にさかのぼって調べており、千田透・監査保護課長は「必要に応じて再調査を行うなど、早期に実態解明する」と話した。【虐待問題取材班】
(福岡・障害者虐待 「カリタスの家」保護者会、県に改善要望書・ 2005年1月20日付毎日新聞西部朝刊)


<その後のカリタスの家>

 その後、カリタスの家は大きく変動します。
 まず、2005年4月1日から県の自閉症・発達障害支援センターの委託先を社会福祉法人かいたっくすから社会福祉法人豊徳会に変更(参照)されました。

 そして、2005(平成17)年。
 社会福祉法人かいたっくすは新光会に、カリタスの家は光ケ丘学園(参照)にそれぞれ名称を変更しました(参照参照)。
 その後、どうやら紆余曲折があったようですが、どちらも一応現存しているようです(参照)。

 そして、2007(平成19)年2月8日。
 カリタスの家の前施設長に対し、福岡地裁は 懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました(参照)。

福岡県飯塚市(旧頴田(かいた)町)の知的障害者更生施設「カリタスの家」(現・光ケ丘学園)の 虐待事件で、男性入所者(当時28歳)に熱湯のコーヒーを飲ませてやけどを負わせたとして傷害罪に問われた前施設長、****被告(51)に対し、福岡地裁は8日、懲役1年6カ月、執行猶予 3年 (求刑懲役1年8カ月)の判決を言い渡した。原田被告側は無罪を主張していたが、川口宰護裁判長は けがをしても構わないという「未必の故意」を認定した。
判決によると、**被告は03年12月3日、 重度知的障害で入所していた男性に対し、飲ませれば やけどすると認識しながら、熱湯のコーヒーが入ったカップを男性の口元に無理やり押し付けてコーヒーを 流し込み、唇や舌などに全治26日間の大やけどを負わせた。
**被告は公判で「やけどさせたことはおわびしたい。しかし、無理やり飲ませたわけでも、やけどさせようと思ったわけでもない」と否認。わざとカップを口に押し付けたことを自白した捜査段階の調書は、 公判で「任意性がない」として証拠採用されなかった。弁護側は「検察側は不条理な捜査を展開した」 として、無罪を主張した。
これに対して検察側は、口の周りのやけどの形状などから(1)コーヒーは80度以上の高温であったこと (2)カップが口から離れないようにする強制的な力が加わっていたこと、の2点を証明し、「未必の故意」を主張。また「被害者にとって平穏で安全なはずの施設で、虐待を受けた苦しみは深刻だ」と指摘し た。 【虐待問題取材班】
(知的障害者虐待:前施設長に有罪判決 福岡地裁・2007年2月8日 11時35分付毎日新聞)


<様々な指摘>

 さて、この問題について、様々な反応がありました。

 頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で職員が入所者に紙を食べさせていたことなどが明らかになった問題で、北九州市のNPO法人「人権オンブズ福岡」(貞池和生代表)は一日、施設の正常化を求める要望書を県保健福祉部に提出した。
 要望書では、県の対応の遅れを批判し、運営正常化のため、運営主体である社会福祉法人「かいたっくす」の理事会を解散させるよう求めている。
(頴田の施設虐待問題で北九州のNPOが県に正常化要望・2004年12月10日付読売新聞)

 県の対応の遅れを指摘しているようです。
 確かに、行政がすばやく対処しないと早期解決は難しいのでしょう。

 理事会の解散を求めるということは、経営に問題があったという認識だったのでしょうか。
 経営が良くなれば、運営が正常化されるという分析なのでしょうか。

 「カリタスの家」の虐待問題で、福岡市の自閉症児者の支援グループ「自閉症児者の家庭療育を考える会TOUCH(タッチ)」(大森博子会長)が17日、福岡県に施設の人事刷新や虐待防止策の強化などを要請した。
 自閉症者も多い「カリタスの家」の問題について、要請では(1)県の管理体制と虐待防止策の強化(2)再発防止のため職員や家族らの報告義務を明確に定める--など7項目を求めた。また、添付した意見書で「自閉症児者には専門的知識や対応が不可欠だが(カリタスの家には)それらが大きく欠けている」と指摘した。
 さらに、前施設長の****氏が講演で「食事の時には全員がそろってから一緒に食べます。衝立(ついたて)で区切った、狭い所で1人で食べたり、作業したりするのはかわいそう」と語ったことを問題視。「自閉症を理解していたら、しないようなことを奨励している」としたうえで「騒々しい食堂で皆と一緒に食べることが苦手な人は多く、とてもつらいこと。それぞれの障害の特性を知って、それに見合った援助をしなくてはならないが『カリタスの家』が実行しているのか甚だ疑問」とした。
(届かない悲鳴:施設虐待の深層 自閉症者団体、県に防止策要請・2004年12月18日付毎日新聞西部朝刊)

 こちらでは、自閉症の方一般への理解がたりなかったという認識のようです。
 まあ、確かに食堂の件は象徴的でしょうね。
 先に挙げた、2人部屋というのも同様です。

 福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」など全国で社会問題化している施設虐待問題の解決に向け、衆参の国会議員が「障害者虐待防止法」の議員立法を目指して動き始めた。具体策を検討するため、民主党の衆参議員や県議らが20日、「カリタスの家」を訪れ、虐待の実態について****施設長らから聞き取り調査した。
 この日調査したのは、同党の岡崎トミ子副代表や党障害者差別禁止プロジェクトチームに所属する議員ら15人。原田施設長や原田芳枝前施設長から、一連の虐待問題や施設運営などについて事情を聴いた。
 近年、福島県の「白河育成園」や鹿児島県の「みひかり園」など全国で知的障害者への虐待が明らかになり、11月末には「カリタスの家」でも発覚した。「(頻発する虐待に)歯止めをかけるには罰則を定めた法律が必要」(石毛〓子プロジェクトチーム座長)として「カリタスの家」の本格調査に乗り出した。今後、他党派の議員とも連携し、超党派で議員立法化を図る方針。
 知的障害者の虐待防止については、日本弁護士連合会が3年前の人権擁護大会で、行政から独立した救済機関の設置を盛り込む虐待禁止法の必要性を訴えた。また、知的障害者の親ら約30万人でつくる「全日本手をつなぐ育成会」も今年、虐待の目撃者に行政への通報を義務付けるガイドラインを作成するなど、法整備を促す動きが相次いでいる。【虐待問題取材班】
(障害者の虐待防止、議員ら立法へ動き-カリタスの家、民主党が実態調査・2004年12月21日付毎日新聞西部朝刊)

 「行政から独立した救済機関の設置」は実現していないですね。
 「虐待の目撃者に行政への通報を義務付ける」法整備はなされましたが、施設内の場合、施設内での対応が優先されている現状があると思います。
 個人的には骨抜きにされている印象があります。

福岡県頴田町の「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、自閉症児者の親らでつくる日本自閉症協会九州協議会(河野京次会長)が22日、福岡県へ実態の早期解明と改善を要請した。
 日本自閉症協会(東京、会員約1万2400人)は全国に49の支部があり、うち九州8県支部で九州協議会を組織している。自閉症者を多く受け入れている「カリタスの家」での虐待が発覚して以降、全国から協会に早急な対応を求める声が殺到したため、地元協議会として要請した。
 河野会長ら3人が、県障害者福祉課を訪れた。虐待に「怒りを禁じ得ず、利用者に不安と不快の念を抱かせている」とし「虐待実態の速やかな把握と改善」を訴えた。
 日本自閉症協会の矢鋪(やしき)渉理事は「県の対応への不満が全国に広がりつつある。それを払しょくするためにも入所者の立場に立った指導力を発揮すべきだ」と話している。【虐待問題取材班】
(カリタスの家・虐待問題 福岡県へ改善要請--自閉症協会九州協議会・2004年12月23日付毎日新聞西部朝刊)

 こちらは県に対しての要望のようです。

<原因>

 では、いったいカリタスの家のどこが問題だったのでしょう。
 まずは、明らかになった虐待を振り返ってみましょう。


  1. 「(入所者に) 顔がいいか、腹がいいかと言って、ボクシンググローブで殴った。

  2. 「これ、おいしいよ」と言って唐辛子を食べさせ、「コーヒーだよ」と言って木酢液を飲ませた。吐き出したり苦しむ姿を見て、(職員は) 笑っていた。

  3. 食事が遅いと「いらんなら、さげるぞ」と言って(入所者の)首を絞めたり、テレビ用のりモコンやコップで顔を殴り、まゆの上を切った。

  4. 生の唐辛子を食べさせられた入所者が、唐辛子の汁や粉のついた手で目をこすったため、苦しそうに涙を流したり、吐き出す姿を見て職員は笑っていた。

  5. 気に入らない入所者の頭をスリッパで何度もたたいた。

  6. 入所者の食事が遅いという理由で、おかずの一部を犬に与える。

  7. 施設長は男性入所者に沸騰した湯でいれたコーヒーを無理やり3杯も飲ませ、目やのど、食道のヤケドで約1カ月の重傷を負わせた。

  8. 「お菓子だ」と言ってキャラメルの包装紙を、「おいしいよ」と言って唐辛子を食べさせた。木酢液をスプレーで鼻に吹き付けた。

  9. 男性入所者の下半身を数回けり上げ、重傷を負わせながら「同室の入所者による暴力が原因」と責任転嫁する虚偽の報告をしていた。

  10. 入所者がB型肝炎に感染し、劇症肝炎寸前に陥った。ウイルスを持つ同じ入所者から感染したとみられるが、職員数が少ないことを理由に感染防止策をとっていなかった。

  11. 女性の預金口座から、900万円を勝手に引き出し、カリタスの家の建設資金に流用。

  12. 20代の女性入所者がパニック状態になるたびに寝具用の袋に詰め込まれ、別室に数時間から一晩、放置されていた。"袋詰め"は数年前から恒常的に行われており、多くの職員が疑問を感じながらも、パニック時の対処法が分からず黙認していた。


(参照)

 これらには、いくつかの要因が考えられると思います。
 それと、虐待が始まった要因と、それが続いてきた要因があるように思います。

 ◇重い障害の人狙う…食事に大量の七味、目撃者に口止め-
-障害者更生施設

 福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で発覚した虐待問題で、入所者への暴力や嫌がらせを繰り返していた職員が過去3年間で少なくとも5人にのぼることが分かった。5人は30~50歳代。虐待した職員が、目撃した入所者に口止めしたケースもあり、毎日新聞のインタビューに応じた複数の元入所者や元職員は「人間扱いしていなかった」と証言。陰惨な実態の数々を生々しく語った。【虐待問題取材班】

--どんな職員が虐待を加える傾向にあるのか。

元職員A 30代が多いが、保護者に対しても暴言を吐くような者もいた。専門知識も経験もない職員がほとんどで、系統だった指導がないため、場当たり的な対応しかできず、暴力に走りがちになった。ただ、中には熱心な余り、取っ組み合いになり、殴ってしまったという職員もいる。

--嫌がらせの具体的な内容は。

元職員A 食事が遅いと「いらんなら、さげるぞ」と言って(入所者の)首を絞めたり、テレビ用のリモコンやコップで顔を殴っていた。まゆの上を切った子もいる。問題の職員は短絡的に暴力に走る傾向があり、入所者はパニック状態になりがちだった。

元入所者A 生の唐辛子を食べさせられた入所者が、唐辛子の汁や粉のついた手で目をこすったため、苦しそうに涙を流したり、吐き出す姿を見て(問題の職員は)笑っていた。人間扱いしておらず、こちらを向いては「黙ってないといけないよ」と口止めされた。

元入所者B みそ汁やごはん、おかずに七味唐辛子を大量にかけて、食べさせようとしたこともあったが、注意され未遂に終わった。

--被害者は決まっていたのか。

元入所者A 障害が特に重く、会話のできない、抵抗できない人に限られていた。

元職員B 夕方になると、入所者数人がその日の宿直職員が誰か聞きに来た。(問題の)職員でないと分かると、ホッとし、暴力に訴えがちの職員だと、早々と自室にこもっていた。

--他の暴力は。

元職員B 気に入らない入所者の頭をスリッパで何度もたたいたり。

--なぜ歯止めがかからないのか。

元職員B 職員同士仲が良く、ナァナァになって、(虐待を)注意できる雰囲気になかった。

元職員C 私自身、入所者が暴れるなどパニック状態になった時、対処法が分からず、殴ったり、けったこともある。申し訳ないことをしたと思うが、療育面での専門的な知識を身につけない限り、私が犯した過ちは繰り返されるだろう。
(届かない悲鳴:施設虐待の深層 暴行職員5人以上「人間扱いせず」 福岡の施設・ 2004年11月27日付毎日新聞西部夕刊)

 まず、虐待をしていたスタッフの問題を考えてみましょう。
 ここで挙げられるのが、まず、利用者さんを「人間扱いしていなかった」という点。
 人間扱いしていないと書くと何てひどい人たちだと思いますが、それほど珍しいことでしょうか?

 私たちは、雑談しながら仕事をすることがあります。
 職場のコミュニケーションの円滑化や、人間関係の構築を考えれば、一概に否定できない行動です。

 しかし、たまに空恐ろしくなることがあります。
 それは、利用者さんを無視してスタッフだけで雑談しているのに気づいたとき。

 その話題が利用者さんになり、その話題が利用者さんを嘲笑するものにいつか変わる恐れはないのか。
 そんなことを考えます。

 次に、「専門知識も経験もない職員がほとんどで、系統だった指導がないため、場当たり的な対応しかできず、暴力に走りがちになった。」という点。
 これは、先に挙げた「自閉症児者の家庭療育を考える会touch」 の指摘に通じます。
 とても重要な指摘ですが、これを個人の問題に帰せるのは危険です。
 なぜなら、支援者個人の専門知識や経験の不足だけの問題であれば、虐待が継続しないからです。

 虐待が継続するのは、そういったスタッフへの支援や指摘がたりないからで、組織的な問題であると考えます。

 ◇虐待の背景に
 福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、6年前の同施設開設直後から職員が定着せず、過去3年間で22人が退職していることが分かった。直接入所者にかかわる職員は通常約20人で、3年間でほぼ全員が入れ替わった形。退職者が出る度、求人を繰り返しているが、専門家は「これでは個々の入所者の状態を把握出来ず、施設の体を成しているとは思えない。“素人集団”が虐待の生まれる背景でもある」と指摘している。
 関係者によると、98年の開設当初、利用者47人(入所34人、通所10人、短期入所3人)に対し、職員は約20人いた。その後、次第に退職者が目立つようになり、02年に5人▽03年8人▽04年は12月20日現在で9人が退職した。過去3年間で退職者は計22人に達している。
 退職理由の多くは****施設長の施設運営や給与への不満、複数の虐待職員の存在など。
 今年に入って退職した20代の女性は「相次ぐ虐待を施設幹部に抗議しても変わらなかった。入所者に申し訳なく悩んだが、耐えられなかった」と話す。3年前に退職した30代の男性は「利用者を軽んじる施設長の施設運営に納得いかなかった」と打ち明けた。
 同施設は退職者が出るたび、社会福祉協議会主催の就職説明会などに参加。求人を呼びかけ、新卒者や転職者を採用しているが、専門知識や経験が豊富な人からの応募はほとんどないという。
 **施設長は「職員の定着が求められていることは理解しており、どこかでメスを入れるべきだが、これだけきつい職場で、給料も安いとなると、なかなか思うようにはいかない」と話している。【虐待問題取材班】

 ◇「最悪の状態」
--障害者施設の事情に詳しい河東田博・立教大コミュニティ福祉学部教授(障害者福祉)の話
 これほど退職者が相次ぐと、職員は右往左往するばかりで、施設内はまるで素人がかかわっているような状況だろう。このため虐待が再生され、入所者の障害はますます悪化する。最悪の状態だ。
(届かない悲鳴:施設虐待の深層 3年で22職員退職、入所者の状態把握に支障・2004年12月30日付毎日新聞西部朝刊)

 経験不足のスタッフだらけなのは組織的な問題であると指摘されていますね。

 県議会でも、「利用者ごとの個別支援計画がなされていなかった、全体を統括する幹部職員の指導体制が整っていなかった、通所利用者を入所定員に超えて宿泊させるなど、当時の施設長を中心とする管理体制の甘さ(参照)」や「素人の職員を採用しているのに職員に対する教育がほとんどなされていなかった、また専門知識を持った職員はいなかった(参照)」等と指摘されています。

 だからといって、有資格者を雇っても効果はないと以前から僕は考えています(参照)。

 また、幹部職員からの指導や専門知識のある職員の採用では、それらの職員が虐待をした場合止められないという問題があります。

 そう考えると、「職員同士仲が良く、ナァナァになって、(虐待を)注意できる雰囲気になかった」という指摘は重大だと僕は捉えています。

 いくつかの記事に出ていましたが、現状に不信感を抱いて「退職した」スタッフがたくさんいた環境です。
 そんな環境を、「仲が良」いと表現してしまうのはなぜでしょうか。
 それは、一部のスタッフたちの馴れ合いを止められない環境だったということではないのかと僕は疑います。

 また、金がないことも問題だったのでしょう。
 経済的虐待の原因でもあり、経験不足のスタッフが多い要因でもあります。

 行政との良好な関係と保護者の遠慮によって、監視の目がなかったことも要因でしょう。

 現時点では、こういうことに気を付けたいなと思います。

  • 立場や職種等にとらわれず、お互いに認めあい、指摘しあえる人間関係

  • 人権が最優先される経営方針と、経営陣の態度

  • 虐待は誰でも行いうるという自覚の共有と、失敗が許容される風土

  • 自らを省みられる支援者の余裕

  • 支援法を検討しなおす時間的な余裕とそれを生み出す人的余裕


 障害者虐待については、まだまだ考えていかないといけないなと思います。
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