長崎県長崎市の離島、端島(軍艦島)が来年春にも一般公開されるそうです(参照)。 DSM-IVにおける自閉性障害(Autistic Disorder)とICD-10における小児自閉症(Childhood autism)の診断基準を見ましたが、正直こんな大雑把な基準では一部の専門的な医師しか診断できません。 それに、自閉症かどうかの診断も大切ですが、援助者にとってはもっと詳細な情報が必要です。 その人にどのような課題があってどのような支援をしたらいいかというところまでを見極めるには、様々な検査を使います。
一般的に多く使われているのは、PEP(ペップ)と呼ばれるものとCARS(カーズ)と呼ばれているものの2つです。
PEP(PsychoEducational Profile)
よく知られている検査は、以前も紹介したPEP(ペップ・PsychoEducational Profile・自閉症・発達障害児 教育診断検査)です。 現在第三版のPEP-3が最新ですが、第二版のPEP-Rも現役で使われています。
この-Rとは、「WISC-R」と同様(参照)にRevisedの略で改訂版ということです。
以前も書きましたが、この検査はべらぼうに高いです。 検査用具が21万円もするのを皮切りに、記録・採点用紙(5名分)が3150円、検査法の手引きが4725円もします。
検査用具というのは、これを使って子どもが遊んでいるところを観察して記録する形式だからで、これもWISCに似ています。
この検査は、アメリカノースカロライナ大学のTEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)部のエリック・ショプラー(Eric Schopler)博士を中心に作られたもので、TEACCHの手法を用いて支援(療育)するためのものだと言えます。
ノースカロライナ大学のTEACCH部で考えられた、この心理教育プロフイール(Psychoeducationl Profile 通称:PEP)は自閉症児・発達障害児の特性に配慮して作られています。その基本は発達的視点・教育的視点・コミュニケーションの視点・病理的視点からと網羅されていて、またその採点も特徴的で、合格・不合格のあいだにある「芽生え反応」というとらえ方を重視しています。 教育的観点から、この「芽生え反応」にある課題をうまく伸ばしていこうという考え方です。
したがって、この診断検査で評価をして終わりというのではなく、ここから個別教育プログラムを作成して始めていくという検査です。 作成されたプロフィール表を見て、強い所、弱い所、そして今芽生え反応にある所などに着目して、取り組むべき課題を決めていきます。
この検査では、発達尺度として「模倣(例)」「知覚(例)」「微細運動(例)」「粗大運動(例)」「目と手の協応(例)」「言語理解(例)」「言語表出(例)」の7項目があげられています。 また、行動尺度として「人、物との関わり方」、「感情表現の仕方」、「五感の働き、特異性」、「 ことば」の4項目があげられています(参照・参照・参照)。
ちなみにこの検査には成人用もあり、AA-PEP(Adolescent & Adult PEP,青年期・成人期心理教育診断検査)と呼ばれています。
CARS(THE CHILDHOOD AUTISM RATING SCALE)
次のCARS(カーズ・THE CHILDHOOD AUTISM RATING SCALE・小児自閉症評定尺度)は、先のPEPと違って自閉症かどうか、また、自閉症の特性の軽重はどうかを判断するための検査です。 一般的には、これで自閉症を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)であると判断された場合にPEPやAA-PEPを使いますが、同時に行うこともあるようです。
この検査も、エリック・ショプラー(Eric Schopler)氏が関わっており、他にR.J.ライクナー、B.R.ラナーという名前が見えます。
でも残り2人のつづりは調べません。面倒だから。
そのことで分かるように、こちらもTEACCHで用いられた検査です。 この検査の場合、検査者が時間をかけて以下の15項目似ついて観察していくという手法です。
1. 人との関係:人に関心があるかどうか、対人接触を拒否するかどうか。 2. 模倣:言語性・動作性ともに、人の真似をするかどうか。 3. 感情:場面に適切な感情反応が見られるかどうか。 4. 身体の使い方:年齢相応の身体の使い方が出来ているかどうか、身体意識は正常かどうか。 5. 物との関係:物に関心を示すかどうか、適切な使い方が出来ているかどうか。 6. 環境変化に対する適応:環境や状況や活動の変化に対応できるかどうか。 7. 視覚による反応性:人や物を見るかどうか、中空を凝視したりおかしな見方をしないかどうか。 8. 聴覚による反応性:音や言葉に対する反応はどうか、敏感なのか無関心なのかどうか。 9. 近受容器による反応性:触覚・痛覚・臭覚の反応は正常かどうか。 10. 不安反応:愛着対象との分離に対する不安の有無、重力不安があるかどうか。 11. 言語性のコミュニケーション:発語の有無、オウム返しや奇妙な話し方があるかどうか。 12. 非言語性のコミュニケーション:顔の表情・身振りなどへの反応・表出があるかどうか。 13. 活動水準:多動あるいは寡動か、行動抑制ができるかどうか。 14. 知的機能:知的機能に遅れがあるかどうか、また、アンバランスがあるかどうか。 15. 全体的な印象:自閉症〜軽度の自閉症〜中度の自閉症〜重度・極度の自閉症。
熟練したディレクターがかなりの時間をかけて子どもを観察し、この15項目のそれぞれについて、(1)正常範囲内〜(2)軽度の異常〜(3)中度の異常〜(4)重度の異常という評点をつけます。そして、総得点が30点以上が「自閉症」と診断されます。しかし、30点未満であっても、アスペルガー症候群や広汎性発達障害である可能性は否定しません。ただ、「自閉性障害」の中で「自閉症」という診断名がつくかどうかの判定をするものです。この場合でも、その子にはその子の為の特別なプログラムが必要であり、その子にふさわしいアプローチの仕方があることを教えてくれます。つまり、CARSは、誰が「自閉症」で誰が「非・自閉」かを弁別する為だけのものではなく、一人一人に合った指針を見出す為の方法なのです。 (詳細)
その他
その他に調べてみましたが、梅津耕作という人のCLAC(Check list for Autistic Child・自閉症行動チェック)という検査が見つかりました。 どうもこれは、行動療法用らしいです。
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